日本最後の秘境、雲ノ平に行ってきました。
さて、今年2017年の夏は、昨年から行きたいなぁと思っていた、「雲ノ平」に行ってきました。なぜ行きたいと思ったかというと、雲ノ平は「日本最後の秘境」と呼ばれているのです!この枕詞を聞いて心踊らないわけがありません。
というわけで5日間に渡って山の中を歩いた記録をつけていきたいと思います。
8/9(水)
今回の山行は会社の同期と二人で決行。とりあえず東京から北陸新幹線に乗って富山に前乗りしました。宿は駅近のビジネスホテルの富山地鉄ホテル。駅近で何より折立直通バス乗り場の目の前という立地がGoodでした。
今回の旅は山小屋泊なのでテントやシェラフはなし。朝飯も晩飯も宿で出してもらうことにしていたので荷物は少な目でしたが、それでも5日間ともなると昼飯や行動食など大量の食料が必要で近くのコンビニで買い出し。そもそも5日間の山行は私も同期も初めてだったので、だいぶ荷物は削りつつも食料は大量に詰め込みました。
また、この日の夜はちょっとしたトラブルが。折立への直行便のチケットをコンビニで発行しようとしたのですが、発券機が深夜のためサービスを停止!。いくつかのコンビニを回りましたがどれもダメ。。これでバスに乗れなかったら富山温泉旅行に切り替えるかなどと考えながらこの日は床につきました。
8/10(木)
さて、登山当日。4:30に起床して5:00のバスに乗車。乗車時バスの乗務員さんにチケットがコンビニで発券できなかったことを伝えるとあっさり乗せてくれました。よかった。結構こういう方も多いのかなぁ。
バスは有峰口で少し乗客を拾った後、7:00に折立に到着。そしてここから、私たちの5日間に渡る山旅がスタートです。
荷物をまとめたりトイレに行ったりして、折立を出発したのが7:30頃。
太郎平小屋までの道は木道が整備されており歩きやすく、天気も良かったため順調に歩を進めることができました。途中で素敵な蝶に出会ったりもしながら太郎平小屋に着いてのは11:40頃。標準タイムより約50分巻いたことになります。とても順調です。
太郎平小屋でお昼休憩をとったのち、我らは一路今日の宿泊予定地である薬師沢小屋を目指しました。薬師岳の悠然たる姿に少し後ろ髪を引かれましたが、今回の山行ではパス。また次回、今度は高天ヶ原温泉とセットで行きたいなぁ。
太郎平小屋から薬師沢小屋へは稜線を離れ、黒部川に向かって谷を降っていきます。午後からは少し曇り空になりましたが、雨に降られることはなく、順調な山行でした。12:25に出発し薬師沢小屋に到着したのが14:35くらいだったので、ほぼコースタイム通り。小屋のそばには美しい青色をした黒部川が流れておりました。
今回の山のお供はこちらのサントリー知多。緑の中で飲む酒は格別です!。実際のところザックの中身はおつまみが大半という(笑。
夜は山小屋で食事を出していただきました。山小屋泊は荷物を少なくできるのでホント快適です。山小屋メシ美味かったー。
8/11(金)
二日目。この日はついに念願の雲ノ平を目指します。出発は朝5:00。宿の前のつり橋を渡り、左手に歩いて行って沢を一つ越えたところで、高天ヶ原温泉と雲ノ平との分岐にぶつかります。ここから雲ノ平までは急登をひたすら2時間以上登ります。雲ノ平へ入る最後の難関です。
なかなかハードな急登でしたが、7:00過ぎ何とか登りきりついに雲ノ平へ入りました。ただこの時は残念ながらガスっていて、視界不良。景色を楽しむことはできませんでした。アラスカ庭園と奥日本庭園という謎のネーミングセンスの庭園を眺めながら、「天気良くならねぇかなー」とか駄弁りつつ歩いていると、8:00前に雲ノ平山荘に到着しました。
雲ノ平山荘は2010年に新築されたとっても綺麗な山荘です。秘境にあるとは到底思えません。
外はまだガスっていましたので、しばらくここで休憩させてもらうことにしました。さらにスタッフの方に話を聞くと、10時から食堂が営業開始とのこと。せっかくなんだからということで雲ノ平山荘で早めのお昼を取ることにしました。
山荘での食事はラーメンにしました(相方はカレーライス)。秘境の食事とは思えない美味しさです。ボリュームも十分!
お腹も一杯になったので、随分長居をさせてもらいましたが、11時前に雲ノ平山荘を出発しました。
外に出ると少しガスが晴れてきており、ぼんやりと遠くも見えるくらいに。
その後ぶらぶら雲ノ平を散策し、スイス庭園に寄り道したのですが、この時にはガスもだいぶ晴れてきており、雲ノ平の本気(素晴らしい景色)を見ることができました。アラスカ庭園や奥日本庭園はちょっとよく分からなかったけど、ここは本当にスイスにいるような素晴らしい景色が広がっていました(スイス行ったことないけど。。)。
ずっとスイス庭園でのんびりしていたい気持ちにもなりましたが、今夜のお宿は水晶小屋。ものすごく混むとの噂でしたので、早めに着いときたいとの思いもあり、12時前にスイス庭園を出発。
その後丸っこい山容が特徴的な祖父岳を登りました。この山、見た目に反して登るのが結構しんどくハードな山でした。しかし苦労した甲斐もあり、山頂に着いた時にはかなり天気も回復していて、見事な水晶岳と鷲羽岳を望むことができました。また背後には雲ノ平の全景を望むこともでき、素晴らしいビューポイントでした。
しばらく祖父岳からの景色を堪能したのち、また少しガスが上がってきたので、一路水晶小屋を目指し出発。水晶小屋に到着したのは15時頃でしたが、無事宿泊することもでき、夕食も問題なく出してもらえました。ただし布団は2人で1枚ということに。正直寝心地の良いものではなかったです。。
8/12(土)
さてさて3日目。朝の5:00に水晶小屋を出発し、水晶岳のピークを目指します。ここはピストンでピークを目指すため、荷物は小屋にデポ。身軽になっての登山はホント快適!ただ残念なことに深〜いガスが立ち込めていて、視界はイマイチでした。一瞬山頂付近で雲が晴れ山が見えましたが、ほんの束の間。ほぼ雲の中を歩いているような感覚でした。
山頂で朝飯を食べて少しのんびりした後、水晶小屋に帰ってきたときは6:30。ここで荷物を回収して、今度は鷲羽岳を目指します。
水晶小屋を再出発したのが7:00前。残念ながらこの時外はまだ濃いガスが立ち込めていましたが、幸いにも雨はなく、順調に歩を進めることができました。
霧は徐々に晴れていきましたが、鷲羽岳山頂に着いた8:40くらいの段階ではまだ視界はイマイチでした。晴れていればアルプスの山々を一望できる絶景ポイントとのことですのでちょっと残念でしたが、天気ばかりはどうしようもありません。またいつか裏銀座コースを縦走する時に期待したいものです。
この日の行程は黒部五郎小屋までのため、順調に行くと行程はあと3時間半程度。時間に余裕があったので、鷲羽岳山頂でゆっくりコーヒーを入れておやつ休憩をしました。
このときはまだこの後に起こる出来事を予想もせず、のんびり楽しく過ごしていました。。
9:30近くまで鷲羽岳の山頂でのんびりしていましたが、あまりガスが晴れる気配もなかったので、先を目指すことにしました。1時間ほど急な坂を降って三俣山荘を目指します。ここで大勢の登山者とすれ違いましたが、皆一様にしんどそう。こちらは降りなのでよかったですが、登るのは辛そうだなぁと思ったりしました。
10:30頃、鷲羽岳を降り三俣山荘に到着。ここで大いなる悲劇が起こっていることに気づくのです。
ちょっと早い昼飯を小屋で取ろうという話になったとき、「あれっ、財布とiPadを入れた手提げがない。。」ということに気づきました。すぐに昨夜泊まった水晶小屋の寝室に手提げを置いていて、回収していないということに思い当たります。
三俣小屋の方にお願いして水晶小屋に無線で確認してもらうと、案の定手提げは水晶小屋にあるとのこと。ただ、送ってもらおうとすると、小屋を閉める10月下旬まで待って、その後ヘリコプターで忘れ物などの荷物を町に下ろし、それから郵送することになるとのこと。財布と毎日仕事で使うiPad(無くしたら始末書!)を、11月近くまで気長に待っている訳にはいきません。
ということで、ほとんど逡巡する間もなく、取りに戻ることを決心します。
戻りのルートは鷲羽岳を通るのではなく、黒部の源流まで降って沢沿に登って行くことにしました。こちらならコースタイム4時間25分で往復できます(ちなみに鷲羽岳経由で往復すると6時間10分かかります)。
重たいザックは三俣小屋に置かしていただき、最低限の荷物だけアタックザックに詰めた状態で、水晶小屋に戻ることにしました。
このとき、同期とは、
・三俣小屋に戻ってくるのが14:30を回った場合、三俣小屋に泊まることにする。
・当日中に黒部五郎小屋に現れなければ、次の日の朝7:00まで出発を待っていてほしい。
という約束を交わし、別れました。
ここからは一路ソロ登山となり、まずは黒部の源流を目指します。緑豊かな道を駆け降り、といきたかったのですがお盆ということもあり道は登山者で混んでいてあまりペースを上げることができず、黒部川源流の地標に辿り着いたのは11:10頃とほぼオンタイム。ここからワリモ北分岐を目指し源流沿いに谷を登ります。ここからは人が減り、一気にペースを上げることができました。
緑豊かな渓流沿いの山道を登り、昨夜通った岩苔乗越に到着したのが12時前。その後水晶小屋についたのが12:30。ここで荷物を受け取り、山小屋の方に声援を受けながら、すぐに来た道を引き返します。
帰りは天気も回復して来ておりペースもアップ。岩苔乗越に着いたのが13時くらい。そこからまた黒部の源流沿いに谷を降ります。このとき天気は回復して来ており、眼前には三俣蓮華岳を綺麗に眺めることができました。
やっとの思いで三俣山荘に帰って来たのが14時。この時すでに相当の疲労が溜まっていましたが、なんとか14:30までに帰ってこられたので、この日のうちに予定通り黒部五郎小屋を目指すことを決めました。
三俣蓮華岳のピークを巻くルートを取ることも考えましたが、せっかくここまで来たのだからと思い、結局三俣蓮華岳のピークも通るルートを通ることに。
山頂を目指す途中、振り返った時に見た鷲羽岳と三俣蓮華岳キャンプ場のカラフルなテントのマッチングと、東を見た時に雲の隙間から一瞬覗いた槍ヶ岳は本当に美しく、体はもうヘトヘトでしたが、無理してでも登って良かったと心から思えるものでした。
結局この後少し道に迷ったりもして、なんとかかんとか黒部五郎小屋に到着できたのが16:45。宿に着いたときは疲労困憊・満身創痍でしたが、同期は夕食の時間を一番遅い回にして待っていてくれました。本当にありがたい。
この日はお酒も飲まず、晩飯を鱈腹いただいた後には、すぐ泥のように眠りにつきました。
8/13(日)
長い山行もついに4日目。この日はついに待ち焦がれていた朝からの快晴!!本当にこの天気をずっと心待ちにしていました。
朝の5:40頃に黒部五郎小屋を出発し、黒部五郎カールを目指します。宿を出発して1時間ほど歩いたところで黒部五郎カールが見えて来ました。巨石が点在する独特の景観は本当に素晴らしく、天候が素晴らしかったことも相まって、今回のハイライトと言える絶景でした。木曽駒ヶ岳の千畳敷カールも美しいですが、こちらは2日間以上山の中を歩いて来た人だけが見ることができる景色であり、その魅力は格別です。
黒部五郎の稜線に出て、そこから山頂までは約15分。黒部五郎岳山頂からの景色もまた素晴らしく、雲ノ平を始め、薬師岳・水晶岳・鷲羽岳など周辺のアルプスの山々を一望できました。これらの山々を4日間かけて歩いて来たんだと思うと、なんだか少し感慨深いものがあります。
さて、今回の山行の目的地はここまで。あとはぐるりと回って行きに通過した太郎平小屋まで向かいます。山頂から小屋までのコースタイムは2:45。意外とここが踏ん張りどころ。疲れも溜まって来ておりしんどいところですが、ここはエスケープルートもなく、基本的に太郎平小屋を目指す以外帰る道はありません。
しかし消化試合と思っていた帰り道に予期せぬご褒美が。太郎平小屋まであと1時間程度のところでなんと雷鳥に出会うことができました。今年初の雷鳥。なかなか出会える訳ではないので、こんな近くで拝めたのは幸運でした。こんなに近くで雷鳥を見たのは一昨年表銀座ルートを縦走した時以来です。
そんなこんなで無事に太郎平小屋に辿り着き、4日目も終えることができました。
また、この日の夜はこちらも待ち望んでいた満天の星空を見ることができました。前半は今ひとつ天候に恵まれなかった山行でしたが、最後に素晴らしい景色を見せてもらえました。私のカメラとテクニックではまだまだ星空を美しく撮影できないのがもどかしいのですが、、、
8/14(月)
ついに長かった山行も最終日。この日は太郎平小屋から折立へ降るのみです。
朝、美しい薬師岳に別れを告げ、一路折立を目指します。
5:00宿を出て、折立に到着したのは、8:30。大きなトラブルもなく(3日目にやらかしましたが、、、笑)、最後まで怪我なく無事に帰りつくことができて本当に良かったです。
「日本最後の秘境」。今までの人生で最長の山行でしたが、行けば何とかなるものです。
今度は薬師岳、そして高天ヶ原温泉にも挑戦するぞ!